復興支援特定研究-01
研 究 題 目 |
放射性Csイオンの高速除去技術と濃縮技術の開発 |
所属機関・役職 |
筑波大学 数理物質系 教授 |
代 表 研 究 者 |
守友 浩 |
【研究目的】 |
我々は、放射性汚染水にフェリシアンイオン([Fe(CN)6]3-)と遷移金属イオン(Mn2+)を投入し、沈殿物を除去することにより、高速(1分程度)に放射能レベルを自然界の放射能レベルまで低減することに成功し、特許出願をしている(特願2012-011269)。他方、低濃度の汚染水を濃縮するには、電圧でイオンの貯蔵・放出が制御できるデバイスが必要である。本研究の目的は、我々が提案する水溶液中のCsイオンの高速除去技術と濃縮技術の有効性を実証し、これらの技術の実用化への道筋をつけることである |
【研究方法】 |
現実の環境では、汚染水中にはさまざまなイオン(主に、Naイオン)が溶解している。そこで、高濃度(数mol/L)のNaイオン存在下で、Csイオン除去性能を評価する。次に、濃いCsイオン水溶液を用いて、プルシャンブルー類似体粉末と薄膜の貯蔵・放出性能を評価する。さらに、現実の極低濃度Csイオン水溶液で(1ppm以下)で、Cs貯蔵性能を評価する。 |
【研究成果】 |
まず、Csイオン10ppmとNaイオンを含む水溶液に、10 mM [Fe(CN)6]3-と10 mM Mn2+を投入し、吸引濾過器で沈殿物を除去した。その後、水溶液中のCs濃度を、ICP分析で決定した。この実験により、『我々のCsイオン除去技術は(海水の1/10程度の)Naイオン存在下でも性能劣化がない』ことが明らかとなった。次に、定電流を流し、Csイオンの貯蔵・放出実験を行った。薄膜の実測容量(45mAh/g)は、理論容量(64mAh/g)に近い。また、粉末の実測容量(53mAh/g)は、理論容量(62mAh/g)に近い。この実験により、『プルシャンブルー類似体は0.9μM/cm2のCsを貯蔵・放出できる』ことが明らかとなった。また、定電圧を印加し、Csイオンの貯蔵・放出実験を行った。NNF83薄膜に1V程度(vs. As/AgCl)の電圧を印加すると、電流が20秒程度流れ、その後消失する。この実験により、『プルシャンブルー類似体薄膜は、20秒でCsを貯蔵できる』ことが明らかとなった。最後に、現実の極低濃度Csイオン水溶液で(1ppm以下)で、NNF84粉末電極のCs貯蔵性能を評価した。極低濃度Csイオン水溶液に対して、NNF74粉末は有意な電圧印加効果を示した。 |
【まとめ】 |
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本研究により以下のことが明らかとなった。
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